2023-01

思い出にはならない

餃子を喰って 四人で 坂道を上った 墓場の脇の道だ それで眠った 眠っている間に 海沿いの街が焼け焦げて 山が二つに裂けたけれども 私は傷ひとつ負わず 死なず そのあとも死なず まだ生きている

温かいレモネード

その 布張りの 味のしない 丈の低い腰掛けに 座るためだけに注文される 砕けた植物組織が雪のように 積もっているのを掻き混ぜる 濁った暗いひとつの液体

繁殖

あなたは彼女のことを もう二十年も悼んでいるが 骨壺の中身の骨は とっくの昔にばらまかれて もうそこいらで 充分に繁殖している

出血

こんなところに蛇口があると 遠からず 血が全部抜けてしまう 蟻が横断歩道で溺れて 蒼ざめて萎れる都市を踏み潰す
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